北摂ロマネスク

エイト、音楽、こっそり日常。

僕らの平成最後のロックンロールは伊達じゃなかった

全く読まなくてもいい前置き

個人的な話だけど、実はこの一週間、この4年で多分一番深刻な「冷め」と「落ち込み」に苛まれてました。
関ジャニ∞のチケット戦争に悉く負けてしまって、理由は本当にそれだけなんだけど、【これだけは】というような戦いに限って(自分の名義どころか身内のも協力してくれた友人分も)敗戦が続いてしまうともう、「あーーーーeighterの私(の名義)は死んだわ、死んだ死んだ」みたいな気分で結構真剣に降りる算段も立てたし、落選した諸々の公演のチケットを探したりすることももうどうでもいい…と思っていたところに近々身内が手術をしなければならないという予定が舞い込んで…今こそ勇気とか活力をもらいたいのに、それも叶わないのかと。

自分ではどうすることもできない、力の及ばない所でいろんなものを左右されるのが本当に嫌。生活の糧にしたいのにその権利も与えてもらえないのが嫌。FCってなんだ。推しは悪くないのに、モチベーションを保てないせいで推しを嫌ってしまいそうな自分が嫌。まあそんなわけで、これはいよいよ俗世を離れなければこのままだとダークサイドに取り込まれてしまう…と引きこもっていた次第。でした。

タイムラインも情報アカウントも何も見ず、エイトのことだけじゃなく他のアーティストのことも特に気にかけていなかったけど、ANNを聞いていたおかげでSTARTING OVERの発売日はちゃんと覚えてた。楽天ブックスフラゲ日に届けてくれてありがとう。お陰様で立ち直れました。

「STARTING OVER」という音楽の力

高橋優すごい。音楽ってすごい。

なんかもう、前述のとおりベコベコにへこんだ箱だった私だけど、ちゃんと元通り箱の体を成すまでに復活した。フラゲして寝る前に枕もとで聴き始め「T5.若気の至り」が2秒でやばいと察知、ぼろぼろ泣きながらがんばって「T8.ありがとう」まで聴いて、全部はもったいない…とわくわくしながら眠りについて、翌朝残りのトラックを聴いて、何だこのアルバム…って震えながらとりあえず今の時点で4回フルでリプレイした。めちゃくちゃエネルギーもらって今日の午後の商談もうまくいった。優くんすごい。

 

怒りが内包されたはじまり

1.美しい鳥
2.ストローマン

 きれいなコードでめっちゃ不機嫌にひとりごと言うやん…みたいなアルバムのスタート、これライブでどんな風にやるんだろうとソワソワした。早口でぶつぶつ言う人、確実に怒ってる。でも耳ざわりがいいのが不思議。

 冷コーって言った!聞き違いかな!?って思ったらほんとに冷コーで笑った。チーム高橋の関西色に乾杯。もうここまでの2曲で歌詞の情報量多すぎィ…って思いながら、でも私が思うところの「優くんらしい」駆け付け2曲。

 

16曲中6曲のシングル曲は多いか少ないか

3.シンプル
4.虹
8.ありがとう
10.ルポルタージュ
12.ロードムービー
16.プライド


 前作「来し方行く末」のレビューにて「シングル表題曲がテントのたるみになっている」と書いたのをふと思い出した。今作ではどうだろうか。前作は12曲中4曲、3分の1という割合でシングル曲が収録されていた。今作は曲数も収録時間も前作の割合を上回っているが、重みや枷のような印象は今のところ特にない。
 収録順の妙というべきか、良い意味でアルバムの一部へと擬態しているなと思った。

 そもそもアルバム全体が16曲75分という大作であるのに、しんどかった、やっと終わった…とは全く思わなかった。むしろ最終トラックの「プライド」が、タイアップのカラーそのままにエンディングとして作品を成立させていたように思う。

 16曲というボリュームは、たとえばこのシングル曲群をすべて除いて、10曲丸々の新録曲のみのアルバムとしてだって十分形になるレベルである。今年三浦大知の「球体」を経てしまった私としては、オール新録曲のアルバム作品…と思うと、それはそれでいつか制作してくれないだろうかと夢見てしまう。

 

今作の私のキラーチューン

5.若気の至り

 これはとんでもない楽曲が来た、と思った。

 事前情報を前向きに仕入れていなかったので、収録タイトルから勝手に「こどものうた」系のロックかな?と想像していた。まさかの直球ストレートを投げ込まれて寝しなにめちゃめちゃ泣いてしまった。
 人によったら「そんなに?」と思うテーマ・曲調・歌詞なんだろうなと思うけど、「この時代」に魂の3分の1くらいを置いてきた人種としては、見事にしてやられた。
 色とかにおいとか、空気とか、言葉にしたくてもできないようなこの時間を、高橋優はこう描くのかと圧倒された。輪郭のはっきりした、また芯を突いた表現は歌詞のどこにもなくて、だってそういう年齢でそういう時間なのだから当たり前で。
 「青春」とかいう鮮やかできっぱりした言葉で片づけないでほしい、もっと形にならないものばかりで出来ている、「何が言いたいのかわからない曲」。でもそれが正解中の正解で、そうとしか言えない。
 出先で歌ネットを開いて涙が出てきたのは、本当に久しぶり。いやあ、好きだ。個人的には駱駝、犬、ヤキモチ、絶頂は今に次ぐレベル。

 

6.いいひと

 これは間違いなく優ファンの好きなやつ。

 サイコパス、目が笑ってない云々のブログエントリーやまとめがちょうど少し前に賑わっていたし、タイミングばっちり。まるで他人事みたいにマイペースなリコーダーが素晴らしい仕事をしている。池窪さんさすが!
 

 しかしT1~T6まで流して聴いて、「BREAK MY SILENCE」のことが頭をよぎった。心をひらく、内面をさらけ出す、本音を言うといったことに加えて、今回は自分をあらわすとかシンプルに「語る」みたいなことも含まれているなと。

 

7.aquarium

 ラジオで解禁された時の印象は「最初と真ん中と最後で違う曲を聴いているみたい」。難しい曲だとも感じたし、なぜこの曲が先行で選ばれたんだろうとわりと考えたが、全曲聴いた今なら理解できる。このアルバムの裏番長のような位置づけだと思った。

 渋いギターのストロークと鍵盤の編曲がとても良い。
 それにしても彼の三拍子はなぜこう牽引力があるのか。見事。

 

9.Harazie!!

 何故か和田アキ子みを感じるのだけど私だけだろうか。あとまさに西田敏行…………ではなく、JBのゲロッパ。めっちゃおしゃれでイケてる秋田弁なので、ライブで早く聴きたい一曲。ただし何を言ってるかは本当にわからない。

 

11.キャッチボール

 サビの最後でタイトルの回収がなされてそういうことかと気づく。彼の「君」への楽曲は全人類に向けてのものであり、「君」に向けたものでもあるんだろうなあと感じる。シンガーソングライターならではの透かし。社会に出て日々身を粉にしている人にはきっと染み渡るはず。個人的にはサビの「がんばって」が2回重ねられるところでだいたい涙が出る。

 

13.leftovers

 時事ネタも含んだ、ツイートまとめみたいな歌詞がいかにも「僕らの平成最後のロックンロール」という印象がある。ギター、パーカッション、トロンボーンのシンプルな構成が足取り軽くて良い。

 

14.非凡の花束

 思えばこのアルバムで唯一のラブソングらしいラブソング。1番のAメロを聴いて「リーマンズロック」の彼かな?と思った。彼はすてきな人と巡り合ったのかもしれない。良い話。

 

15.STARTING OVER

 アルバム表題曲だが、ちらっと最後に作った16曲目という情報を垣間見て明滅の時の「BE RIGHT」のようだと思った。今回私のエンジンをもう一度かけてくれた決め手の楽曲なので感謝しかない。再出発というコンセプトも曲調も歌詞も、このタイミングでこの曲名と同じアルバムが世に出てくれたこともすべて良かった。

何よりもうこの一言に尽きるなと思う。

「Listen to the music!」

 

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僕らの平成最後のロックンロール。きっと箭内さんなら記してくれると思った。帯に情報量が多いから仕方なかったのかもしれないけど、来し方行く末の「高橋優は、ここまで来た。」くらいもっとドカーン!と載せてほしかったな、という気持ちも捨てきれない!

今からやっと、諸音楽サイトのレビューやインタビューを読んで回ってきます。めっちゃプロモに力入っててうれしい。いろんな答え合わせになるといいな。

 

とにもかくにも、高橋優さん。

6枚目のアルバム「STARTING OVER」発売おめでとうございます!ほんとにたくさんの人に聴いてもらって、音楽の力を受け取って欲しい。今からこのツアーに入れるのが楽しみです。