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北摂ロマネスク

エイト、音楽、こっそり日常。

高橋優に中島みゆきを見た「来し方行く末」【AL+LIVE】

やっと私の「来し方行く末ツアー」が2月3日(金)広島文化学園HBGホールにて始まり、3月の名古屋2日間を経てあとは大阪城ホールを残すだけとなりました。というわけで、2016年11月に途中まで書いて3ヶ月頓挫していたアルバムの所感と、実際に現場に入ってみた感想を更に2ヶ月かけて書いたので満を持してエントリーします。計5ヶ月越し。なんだか重い腰が上がらなくて、こんな時期になってしまいました。

アリーナ編も横アリ2daysを経てあとひと公演、大阪城ホールのみですね。ツアーが終わる前にどうしてもこの記事を上げたかった。AL+LIVEに加えて諸々言いたいこと書いてるので長いですすみません。

 

 

アルバム「来し方行く末」について

 

まず大変大変大変大変遅くなりましたが、5thアルバム「来し方行く末」発売、また初週売上2.4万枚の記録更新、重ねておめでとうございます。おいおいいつの話だ申し訳ない。(※2016年11月16日発売)

 

よし、書く。

多くのユアノンさんと同じく、私もFC限定スペシャルBOXと期間限定盤の二段構えで臨んだ今回。提供・解禁済の以外にも配信やラジオで悲しみのない場所Mr.ComplexmanCockroach等が先行発表されて、待望の発売となった。

 


今回のプロモーション活動は傍から見ていてもすごかった。 昨年のベストアルバムよりも盛沢山だった印象。テレビや音楽系のネット記事は勿論、ラジオの出演行脚が個人的にはとても目立っていた気がする。それもこれも件のベストアルバムがあってこその取り上げられ方だとは思ったけど、本人の口からも笑う約束バブルから脱して自分に厳しく甘やかさないように、というインタビューもちらほら見かけた。

 

 

 

 

率直に感想を言おうと決めた。

 

 

 

 

 

「来し方行く末」は名盤ではない。

 

 

 

 

名盤ではないが、しかし聴かずにはおれない。

そもそも、良くも悪くも「アルバム」でもないと思う。この作品を形容する言葉を色々模索したのだけど、結局「高橋優作品集2016」が個人的に一番しっくりきた。音楽ナタリーの全曲解説が実に興味深い。

 


さて、とはいうものの、作品集としてのまとまりも特に感じられなかった。ビッグネームのプロデュースや編曲、音作りの丁寧さとオーケストラの厚み、優くん本人のコメントから見て取れる思い入れ等を考慮すると、最終トラックBEAUTIFULがやはり軸なのだろう。この楽曲が出来たことでアルバム制作が見えたという本人の言葉もある。

 

個人的に柱は三本、

トラック1「Mr.Complex Man」

トラック10「Cockroach」

トラック12「BEAUTIFUL」

先行発表の影響がかなり大きかったため、個人的な初聴時の印象はこの三曲によるテントのようであった。そして幸か不幸か、収録シングルがテントのたるみを生む「重み」のような気がした。好みを加味しなくても、いくつかのシングルを省いても良かったのでは…と思わずにいられない部分がある。それは前述した「重み」だったり、流れを止める「堰」だったりするように思う。

 

しかしその反作用というか、発売時にうまく受け止められなかったシングル各曲の良さを改めて考えることができた。私はどのアーティストに対しても「アルバムで埋没してこそ光るシングル表題曲」というのはシングルアップには不相応だったのでは、という気持ちがどうしても捨てられないが*1、それはマーケティングとプロモーションの話であって楽曲自体の評価ではないし、実際に私はシングル発売時よりも進んでシングル曲を回している自覚がある。

 

また来し方行く末は「作品集」だと前述したが、それこそがコンセプトなのかもしれないと考え始めている。まとまりやインパクトが足りないなと感じたことも、スタートとゴールが区切られていないからだとわかる。四国で撮影されたという絶妙に靄のかかったジャケット写真は、偶然だったのかもしれないがそうではなかったと思いたい。

BEAUTIFUL」は確かに最終トラックが安パイだろうが、けしてゴールテープではない。また「Mr.Complex Man」は前作の「BE RIGHT」のような明確なスタートラインでもない。

言葉を選ばず言うと、「なんとなく始まってなんとなく終わる」アルバムだと思う。何度聴いてもそこが少し不安な気持ちになるが、それがまさに「来し方行く末」の体現だとすれば合点がいく。

 

 

各トラック一言感想+LIVEでの所感

01.Mr.Complex Man

曲とMVが解禁された当時「すごく想像通りの曲が来た」とツイートしたが、LIVEで聴いた今もその印象は変わらない。寧ろタイトルで完結しているというか、タイトルが本編で楽曲はあとがきの様な感じ。

LIVEでの演出や観客との接点は笑う約束時のオモクリ監督を彷彿とさせるが、ミスコンはなかなかにハードルが高い。しかしOhyeahー!だけでもぜひ叫んでほしい。因みに同タイトルの自伝は食指が動かず未購入。

 

02.君の背景

書こうと思ったきっかけは抱っこされている赤ちゃんとのことだったが、今までと少し違った趣のラブソングだなと思った。彼が書きたかった情景や、歌って伝えたい思いのもどかしさが伝わってくる。生で聴くと、改めていい曲だなと思った。名古屋初日で不覚にも泣く。

 

03.さくらのうた

シングル発表前に抱いていた「高橋優がさくらをテーマに卒業シーズンに書くとしたらこうだろうな」という思いを斜めに裏切ってくれた曲なので、今回収録のシングル表題曲の中では一番好んで聴いた覚えがある。

LIVEはギターを置いてシンガーに徹した高橋優など、演出が抜群に良かった。

余談だが「高橋優がこのタイトルで書くとしたらこうだろうな選手権」の現チャンピオンは「旅人」。

 

04.明日はきっといい日になる

もうこすらなくていいよ、の一言に尽きる。ベストにも入っていたのだから今回未収録でもよかったのでは。

『「大衆向けの歌」と書いて「聴く人を選ぶ」』と読むの片割れ。良い曲なのはわかる、好き嫌いを問わず、特にLIVEの後奏を皆で歌う空間はなかなかのプライスレス感だとも思う。最近はマイクスタンドを倒して本人が入ってきてくれる。しかしそれはそれ、これはこれ。そろそろおなかいっぱい。

 

05.拒む君の手を握る

とても良い意味で「どうした!?」と思った。たとえ二人称宛であっても社会や世界に訴える楽曲が多い中、開け放たれもせず、結果的に思いは伝わらず、こんな閉鎖空間で愛してると呟く高橋優を私は知らなかった。

LIVEでも、CD通りきちんとアウトロで正しく落とされたそれはなかなかに琴線に触れた。有体に言うと広島で泣いた。新しい高橋優を見せてもらえたという点でとても好ましい。

 

06.象

2014年に関ジャニ∞へ提供した時からずっとずっと刺さっていたしこれからもずっと刺さっていくだろう愛しい楔。提供先でもやっとメンバー自身のバンド演奏で披露され(長い2年だった。練習期間だったのだろうか)年末年始に通った関ジャニ∞のツアーでは毎回落ちサビで泣いていたが、意外と提供元セルフカバーの来し方行く末で涙は出なかった。しかしCDでもLIVEでも、「ずっと聴きたかったやつ」で間違いなし。

個人的にはオイオイより頭拍で腕を振りたい派。そして頭を振りたい派。

 

07.悲しみのない場所

ヒーリングタイム。ヘビリピには向かないがたまに無性にサビを聴きたくなる。

LIVEで弦ソロが始まるとこの曲の始まりかと錯覚してしまうが、実際は光の破片の布石。年明けツアー後半からの参加だったため、セトリ変更の関係で今のところ現場では聴けてはいない。

 

08.産まれた理由

いい曲と好き嫌いは別次元の話。幸せが苦しいこともある。

「大衆向けの曲は聴く人を選ぶ」のもう片方。LIVEではひどくずるい映像演出によりあっけなく泣かされたため、非常に悔しくもある。

 

09.アイアンハート

何かのアンサーソングに思えるがどの曲かが思いつかない。私は彼の陰ロックが好きだが、現場で体感してこういう陽ロックもやはり良いなと思えた。大好きな人達、で客席を指してくれる姿勢がやはり好きだ。しかしサビでどう乗ろうかいつも迷う。手拍子(少数)派。

 

10.Cockroach

(ほぼボーナストラックの象を除くと、)個人的に今回ダントツのキラーチューン。

この高橋優を聴きたかった!

動物シリーズは漢字で揃ってこそ美しいと思っていたが、流石に和名ではなあ。

LIVEでのCockroach→象という流れを額に入れて飾りたい。わりと流れに乗ってそのまま次へ、だったものが、名古屋2日目はこの2曲のわずかな間に明らかなギアチェンジがあって非常に興奮した。

 

11.光の破片

シングルリリース時にもエントリーしたが、私はわりとスルメ曲だと思っている。悪い意味ではなく、アニソンぽい、カラオケ向き、J-POPらしい。しかしそれらの要素によりせっかくの「高橋優の高橋優たる言葉づくり」が曲調に流されて「留まらない」ので、普通の曲に感じてしまう。非常に勿体ないと思う。

 

 

「高橋優に中島みゆきを見た元凶」(※褒めてる)

12.BEAUTIFUL

アルバム発表になった当時の前情報として、服部隆之氏が編曲を手掛けたというのはかなり大きなポイントであった。私個人としても大好きな音楽家だったので、単純に「好きなもの×好きなもの」に期待しか抱かなかった。

そして一聴して、

「『ファイト!』やん!!」と瞬間的に思った。

 

編曲は流石の一言、素晴らしいオケであったし、ああ、今回のツアーはオケを引き連れて全国を回るのかとすら思った。それはミニマルな高橋優のサポバンがとても好きだったので、それが崩れるのがいやだなあという気持ちも含んでいた。瞬間的に色々なことを想像して、それらが自分の中であまりにも「非現実」だったので、強いメッセージ性と流れるように美しい編曲に戸惑いすら感じた。

アルバムが発売して2日後のTBS「A-Studio」にて、なんと服部氏ご本人の指揮で、金原女史のストリングスチームが演奏というまたも「非現実」な、願っても見られないのではないのかという夢のような演奏も聴け、ぼんやりとええ曲やなと思っていたものが急に形になった気がした。

 

「淡々」のこわさ

話が逸れるが、私は中島みゆきがとても好きだ。それこそ母の影響で7、8歳の頃から聴いていて、コンサートにも行ったことがある。幼い頃は曲が好きだなあ、声が好きだなあ、立ち姿が好きだなあという思いが強かったが、年を重ねてからコンサート映像を見ると、「こわい」と思うようになった。とてもつらかったり壮絶だったり、歌詞を思わず二度見してしまうような内容でも、彼女は淡々と、時に笑顔でそれを謳うのである。狂気すら感じる。だがそこがいいのだ。それが中島みゆきなのだ。

 

「表に現す、という表現方法」

話がもう一度逸れるが、私が関ジャニ∞が好きな理由のひとつに、「楽しい曲は楽しく、悲しい曲は悲しく表現できる」というものがある。自分が表現できていない、できないことでも、エイトは自分の代わりに、またファンと一緒に、泣いたり笑ったりしてくれるのだ。

 

泉谷しげる」から「中島みゆき」へ

では高橋優はどうかというと、彼は総じて「淡々と」している。もちろん、熱くなって叫んだりがなったり煽ったり、伝えたいことを伝えたいという気持ちだったり、そういう「思いと熱」は現場で感じるが、けして悲しい!と言って悲しい顔はしない。

私がBEAUTIFULにファイト!を、また高橋優に中島みゆきを感じたのは、そうして淡々としながらも、膨大な量の歌詞を伝えきるパワーが共通していると感じたからだ。彼のことを知った時から彼は私の中で「泉谷しげるであった」ので、いつの間に「中島みゆきになった」、いや違う、「中島みゆきを装備できるようになった」のかと正直びっくりした。

 

改めて、箭内道彦氏による恒例の帯芸

「高橋優は、ここまで来た。」にゾワリとする。

 

(左がFC限定BOX、わかりにくいが、透明の帯シールのある右が期間限定盤)

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「来し方行く末」ツアーについて

ツアー初日の狭山市でのFC限定公演(12月3日)には、友人ともども見事に落選した。その次に自分が入る予定にしたのが2月の広島だったため、公演に入っていた方の速報やセットリストを即日チェックしたのだが、その時の印象は「なんだ、こんな感じか」というものだった。

2016年は胡坐にも落選、METROCKや優くん主催のacmfにも不参加だったので、1年間彼の現場がご無沙汰だった私に初日落選はなかなかに大きなショックであった。しかし初日のセトリや参加者の感想を見るにつけ、かなりショックは緩和された。入らなくても大丈夫だなと思ってしまった。特にこうしてほしい、こんなツアーだったらいい、という希望があったわけでもなく、ただ単純に、本当に失礼な話だとわかってはいるが、特に大きな理由もなく、少しがっかりしてしまったのだ。

 

そして2月3日(金)、広島で迎えた「来し方行く末」。

素直に楽しかった。よいLIVEだった。熱かったし、伝わったし、何より終わってから気持ちの良い乾杯が出来た。良い意味で、思っていたのと違うなと思った。

今回どの段階でこの方針になったのかはわからないが、公演ごとにセトリを変えるということは、少なくともツアーに通っている層を認識したということだ。「昨日はやってたのに今日はやってくれなかった」等のリスクもあるだろうが、一度だけというプライム感や、何よりそうして特定の楽曲に頼らない、どの曲でも、高橋優のどの部分を取っても満足させるぞという気概を感じて、私はとても嬉しかった。

広島にて、私より先に福岡を経験してきた友人が聴けると思っていなかったと福笑いで泣いていた。私自身も大好きな駱駝をしてくれるとは思っておらず、また初日セトリのみの知識でパイオニアもBE RIGHTも諦めていたので、嬉しい裏切りであった。

しかしこの時も1か月後に名古屋でも改めて思ったことなのだが、特に何も思い入れはないはずなのに、パイオニア&BE RIGHTの求心力が半端ないと思う。横アリで復活したサイマジョ然り、「みんな好きやな!!!」の一言に尽きる。

 

余談だが3月12日(日)の名古屋公演にもう一度入りたい。センチュリーホールが火の玉のようだった。本当に熱くて良かった。普段名前等を叫んだりしないが、思わず優くん最高と叫んでしまった。この公演のDVDを切望する。

 

今週は新曲「ロードムービー」が発売される。TVをつければ、花王「ビオレ」のCMでタイアップ書き下ろし「シンプル」が流れている。歌コン、Mステをはじめ、音楽番組の出演予定も並ぶ。そして週末は待ちに待った地元、大阪城ホールでの千穐楽だ。4ヶ月のツアーを経て培ってきた、良い裏切りに期待したい。

 

 

「来し方行く末」は名盤ではない。アルバムでもない。

だが、私に高橋優の「来し方行く末」、つまり今の「現在地」を見せてくれるにはじゅうぶんであった。彼が満足していないことも、まだまだ伸びる余地があることも、楽曲を聴けばわかる。LIVEに行けばわかる。だから私はこれからも高橋優の音楽を聴くし、LIVEに行くのだろう。泉谷しげる中島みゆきの次は何を見せてくれるのか、2017年も活動を楽しみにしている。

*1:記憶に新しいところで言うと、関ジャニ∞「強く強く強く」等